高精細4K腹腔鏡手術

当クリニックでは、「STORZ社」の高精細の4K内視鏡画像を用いた腹腔鏡手術を行っております。「4K」とは、横×縦=4000×2000pixel前後の解像度に対応した映像の総称です。フルハイビジョン(1920×1080pixel)の約4倍の画素数を有する4Kでは、高精細化により従来のフルハイビジョン映像では認識しにくかった細かい構造物の視認性が向上し、正確で安全な手術が可能です。また、広色域化により幅広い色再現性が実現し、近接観察による拡大視効果も同時に得られるため、正確で安全な手術につながります。

高精細4K 腹腔鏡手術
「STORZ社」の高精細の4K内視鏡画像

腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(TEP法)での画像比較

高精細の画像により、細かい構造物の認識が可能で精度の高い手術につながることが期待されます。

高精細4K画像
高精細4K画像

旧世代のHD画像と比較すると、画質の違いは明らかです。微細な構造物も容易に認識可能で、血管損傷による出血量の減少や、神経損傷による術後慢性疼痛の減少が期待されます。

HD画像
HD画像

そもそも腹腔鏡手術(内視鏡外科手術)とはどのようなものかご説明致します。

内視鏡外科手術とは

内視鏡外科手術とは、内視鏡で体内を映した画像をモニター画面で確認しながら行う手術のことをいいます。内視鏡や手術に用いられる器具(鉗子)は、お腹に開けた小さな孔(あな)から体内に挿入されます。手術する部位が消化管などの腹部の場合は腹腔鏡(ふくくうきょう)手術、肺などの胸部の場合は胸腔鏡(きょうくうきょう)手術と呼んで区別します。

内視鏡外科手術の利点

内視鏡外科手術の一番の利点は、傷が小さく患者さんの負担が少ない低侵襲治療の実現です。胃や腸を対象とした腹腔鏡手術の場合、開腹手術と比較して切開創の範囲が小さいことから、傷跡が小さい、術後の痛みが少ない、腹壁のダメージが少ないので回復が早く、早期の社会復帰が可能です。また、手術中に臓器が外気に触れないので腸管機能の回復も早く、食事を早期に再開できる長所もあります。さらに、開腹手術後の合併症である肺炎や癒着(ゆちゃく)、腸閉塞、創部感染などを起こす可能性も低いことが示唆されています。

切開創の大きさの範囲の違い(S状結腸切除術の場合)

腹腔鏡手術と開腹手術

内視鏡外科手術の歴史と変遷

最も代表的な内視鏡外科手術である「腹腔鏡下胆のう摘出術」は、1987年に世界で初めてフランスのDr. Mouretによって、わが国では1990年に山川達郎教授によってはじめて行われました。当初は胆のう摘出術など限られた手術で実施されていた内視鏡外科手術ですが、広く普及していくと同時に現在では、胃や大腸、腎臓、肝臓、すい臓など難易度の高い手術にも適応範囲が広がってきています。がん手術では、早期の胃がん、結腸がん、肝がん、前立腺がん、肺がんで標準的な治療とされており、また消化管領域においては虫垂炎や鼠径ヘルニアの外科治療にも積極的に用いられるようになっています。さらに、おへそ部分を一か所だけ切開して器具を挿入する「単孔式(たんこうしき)腹腔鏡手術」も開発され、広く用いられています。切開範囲を従来のものよりも小さくすることで、術後も目立たない小さなキズあとで済み、患者さんの身体にかかる負担をさらに減らすことが期待されます。

内視鏡外科手術の流れ

お腹の内視鏡外科手術は、一般的に次のような手順で行われます。

  1. ① 全身麻酔で眠った状態になります。手術に先立って手術後の痛みを和らげる硬膜外麻酔カテーテルを背中から挿入する場合もあります。
  2. ② お腹に小さな孔(穴)を開け、臓器を損傷しないように気をつけながら「トロッカー」と呼ばれる筒状の器具をお腹の中に挿入し、お腹の外側と内側をつなげる通り道をつくります。
  3. ③ 手術に必要な作業空間を確保するため、腹腔内(お腹の中)をガス(二酸化炭素)で満たします。これを気腹(きふく)と言います。
  4. ④ トロッカーを通じて、内視鏡(スコープやカメラとも言います)や鉗子(かんし)と呼ばれる処置具をお腹の中に入れます。
  5. ⑤ 手術する部位を内視鏡でモニター画面に映し出します。
  6. ⑥ 目的の病巣を切除もしくは修復します。
  7. ⑦ 切除した病巣を体外に取り出し、必要に応じて止血や縫合を行います。
  8. ⑧ ガス(二酸化炭素)を体外に排出します。二酸化炭素は空気と比較して非常に体内に吸収されやすいため、お腹の中に残ったガスもすぐに吸収されてしまうので手術後に腹部膨満感を感じることはほとんどありません。
  9. ⑨ トロッカーを挿入した傷を縫合して閉じて手術は終了です。
内視鏡外科手術の流れ

内視鏡外科手術用エネルギーデバイス

内視鏡外科手術で用いられる処置具には、臓器をつかむための把持(はじ)鉗子や組織を剥がすための剥離(はくり)鉗子、組織を切開・切除するための鋏(はさみ)鉗子、エネルギーの力で組織を凝固切離したり、止血したりするためのエネルギーデバイスなどさまざまなものがあります。エネルギーデバイスには、主に高周波電流を用いるものや超音波振動を用いるものがあり、使用目的に応じて使い分けられていますが、近年は高周波電流と超音波振動を同時に出力でき、両方の長所を兼ね備えた内視鏡外科手術用のデバイスが開発されています。これにより迅速で確実な止血、切開、剥離が可能となり、手術時間の短縮による外科医の負担の軽減や、術後合併症の減少による患者さんの負担の軽減が期待されます。当クリニックでは、これらの高周波電流と超音波振動を用いることができるデバイスを常備しており、手術に役立てております。

内視鏡外科手術用エネルギーデバイス